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羊が弥生に少しだけ心を開いたらしい。
それには少し……いや、かなり動揺した。

でも、まだ懐いたわけじゃない。
“月子を抜きにしたら”気に入った、って辺りらしいしな。
それだけが救い。

これ以上、この関係を崩されたくない。


「また眉間にシワ、寄ってるよ?」

「……月子、」

「錫也?」


いつかみたいに、月子が俺に声をかけてくれた。
徐に、俺はぎゅっと月子の手を握る。
それだけで心の焦りや戸惑いが取り除かれていくような、そんな気になれた。

俺はこのぬくもりを、壊したくない。
こいつらは俺のだ。
誰にも邪魔はさせない。
今までずっと大切に守ってきたんだ。
壊させたりなんか、させるもんか。





(「ねぇ、錫也?」)
(「あ? 錫也がどうかしたのか?」)
(「哉太……なんか錫也が手を握ったまま反応しなくなって、」)
(「……って、こいつ気ぃ失ってる?!」)
(「え?! あ、そういえばすごくあったかいような……。」)
(「大変だ、錫也熱があるよっ!」)
(「と、とりあえず保健室行くぞ!」)




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