なんでだろう。 龍くんとやっくんがすごく生暖かい目で見てくるんだけど。 何か企んでる…? いや、でもそれなら龍くんもってことはないだろうし……聞くか。
「何か変だけど、2人ともどうしたの?」
「むふふ、何もないよ? ねぇ、副部長ー?」
「む、何もないぞ。」
「………。」
なんかウソくさい、特にやっくん。 ジトーッとした目で見ていると、不意に見えたドア付近で見知った人がお辞儀をしていて。
「龍くん、やっくん、ちょっとごめんね!」
「む…あぁ、青空か。」
「いってらっしゃーい」
2人に断りを入れて、ドアの傍でいつもの笑顔を浮かべて立っている颯斗くんのとこに行く。 前も言ったみたいに、生徒会室以外で颯斗くんに会うのは珍しいし、況してや教室まで訪ねてくるなんて初めてだ。 まぁ、颯斗くんと私の関係なんてほんとに薄っぺらいものだから仕方ないんだけど。
「こんにちは。 颯斗くんが来るなんて珍しいね、どうしたの?」
「こんにちは。 たまたま近くを通ったので、弥生さんのお顔を見ようかと思いまして。」
そう言ってふんわり笑う颯斗くん。 お世辞だとわかるけど、こうも自然に言われるとなんだか照れ臭い。 少しだけ視線をズラしてお礼を言えば、またさっきみたいに笑われた。
なんだか私、颯斗くんには笑われてばっかな気がする。
(「やっぱ弥生ちゃんって青空と付き合ってんのかな…?」) (「さぁ……って白鳥、お前は何故そんな泣きそうな顔をっ…!」) (「だ、だってなんか寂しくてっ!」) (「む……まぁ、わからなくもない、が…。」)
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