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「あ、哉太。」


移動教室の途中、サボるつもりなのかゴロンと芝生のところに寝転んでいる哉太を発見。
また錫也に怒られるんだろーなーって思いながら笑っていたら。


「……月子、」


探しに来たのか、月子が現れた。
その瞬間、私の顔から笑顔が消えたのがわかる。
そりゃあそうでしょ?

自分の嫌いな奴が自分の好きな人に笑いかけて、しかも好きな人が笑い返してるんだもん。

ねぇ、哉太。
どうして月子には笑うのよ。
哉太と付き合ってるのは私だよね?
なのに、なんで私のときは笑ってくれなくて、月子には笑うのよ。
告白したのはそっちじゃない。
遊びだったの?
あのとき私に言った“好き”は、嘘だったの?
わからない。
わからないよ、哉太。





(「あ、移動教室に遅れちゃう……。」)




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