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「……弥生、と…青空、か…?」


寮に戻る帰り道、ふと目についたのは楽しそうな弥生と青空。
俺といるときには見せない柔らかな弥生の表情にツキリと胸が痛い。
いつの間にか見ていただけだったのが、2人を睨むように見ていたのに気付いて苦笑した。

俺にこんな資格、ないのにな。


「あ、哉太っ!」

「月子、お前部活は?」


いろんな気持ちを吐き出すようにため息をついて弥生から目を離す。
それとほぼ同時に後ろからそんな声と共に笑顔の月子が現れた。
今日は確か部活だったはず。


「さっき終わったの!
それで前に哉太が見えたから、一緒に帰ろうと思って!」

「そうか、じゃ送る。」

「もぅ、一緒に帰るんだってば!」


少し怒ったように笑う月子。
それに適当に返事を返しながらそっと、さっき弥生がいた場所を見る。
もちろん、弥生たちはもういなかった。


「哉太?」

「あ? なんでもねぇ。」

首を傾げる月子の頭を少し強めに撫でて言えば、クスクス笑う月子。
俺がほんとに笑わせたい相手を笑わせれずに、こうしてそいつ以外の誰かを笑顔にさせるなんて、な。

今の俺の顔、すっげぇ情けねぇんだろうな、きっと。





(「髪ぐしゃぐしゃになっちゃった…!」)
(「どうせもう寮なんだからいいだろ、別に。」)
(「よくないよっ!」)




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