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「よぉ、七海。」

「不知火会長…!」

「久しぶりだな。」


木に背を預けてぼんやり空を見上げてると、不意に不知火会長で視界の殆どが埋めつくされた。
ニッと笑ったその姿に、少しの懐かしさが心を占める。


「お前、最近またケンカばっからしいな。」

「そ、そんなこと…、」

「あるだろ?」


隣に腰を降ろしながらそう言う不知火会長に、思わず口ごもる。
昔から、この人にウソはつけない。
あ、今ちょっと“お前の場合はみんなにウソつけねぇだろ”とか思っただろ?
取り消せ、ばか!


「弥生とのこと、まだ引きずってんのか?」

「えぇ?!」

「図星か。
真っ赤だな、お前。」


ニヤニヤと意地の悪い笑顔を見せる不知火会長に余計に顔に熱が集まる。
なんだか居心地が悪くて視線をそらせば、豪快に笑われた。


「お前は相変わらず素直だなぁ!」

「ちょっ、頭撫でないでください!」

「いいじゃねぇか!」


ぐりぐりと頭を撫でる会長に、必死に抵抗する。
言っておくけど、断じて嫌なわけじゃない。
ただこっ恥ずかしいし、なんか泣きそうになるんだ。
こうして不知火会長の前では、弱い自分もさらけ出せるから。

それをわかってやってるんだろう、ふと目が合った瞬間の優しげな緑に涙腺が決壊した。





(「ほんと、素直すぎるわりに不器用なんだよ、お前は。」)
(「……ふっ、く…そんなこ、と……ない、ですからっ…!」)
(「ったく、そういうことにしといてやるよ。」)




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