哉太と弥生が別れて数週間、噂もだいぶ落ち着いてきた頃。
それなりに立ち直ってきた哉太に、少しだけ安心した。
「おいこら羊てめぇ!」
「わっ!
いきなり何するのさ!」
「それはこっちのセリフだ!」
騒がしい2人を見ながら1人安堵の息をつく。
そうだよ、やっぱり俺らはこうして4人で騒げばいい。
他の人なんていらない。
例えそれが哉太の想い人だったとしても、俺らの関係を壊すっていうなら必要ないんだ。
「ふふ、相変わらず仲よしだねぇ2人は。」
「じゃあ俺らは俺らで仲よくするか?」
「えっ……ち、近いよ錫也…!」
「そりゃあ近づいてるからね。」
「ちょっと錫也、僕の月子に近づきすぎ!」
月子をからかいながら、突っ掛かってきた羊と言葉を交わす。
でも哉太はなにも言わない。
寂しそうな顔で俺らを見守る。
それが酷く寂しかった。
(「……錫也?」)
(「なんだ?」)
(「え、急に黙り込んだから……どうしたのかなーって。」)
(「あぁ、別になんでもないよ。」)