「……哉太、まだ引きずってるんだね…。」
「アレはしばらく続きそうだしなぁ…。」
「あんな女にフラれたくらいでバカみたい。」
「あんな女言うなっ!」
羊の言葉をきっちり拾った哉太は、そう言って羊に食いかかる。 それを羊は冷たくあしらうわけで、哉太は余計に怒って。 まぁ詰まる話は、
「お前たち、いい加減にしなさい!」
俺の出番が増える。 一度怒鳴られたら一応落ち着くんだけど、2人(特に哉太)のイライラは収まらない。 今にもまたケンカしそうな雰囲気に内心ため息をつく。
大体、哉太も哉太だ。 昔から弥生のこと気になっててようやくくっついたと思えば、今まで通り月子に構ってばかり。 そりゃあ弥生もいろいろ思うことはあるだろ。 だからと言って、月子にしたことは許せないが。 まぁそこは俺の私怨だからな、黙っておくさ。 なんだかんだ言って俺らも弥生にヒドいことしてきたし、な。 俺は気付いてた分、もっと罪は深い。 だけど、これは月子のためなんだ、仕方ないと俺は思う。
なんて、哉太が知ったら殴られそうだな。
(「そういえば、マドレーヌを作ったんだ、みんなで食べるか?」) (「なんっか甘い匂いすると思ってたんだ、僕!」) (「あはは、羊くんは鼻がいいね?」) (「食い意地張ってるだけだろ。」)
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