嫌な予感がしたんだ。 あの西城があんなに取り乱したり、最後の授業に出なかったり、珍しいことが重なりすぎてる。 その結果がこれだなんて本気で笑えない。
「え、ほんとに…?」
「うん、ほんとほんと。 私も非リア充の仲間入りだよー。」
俺と白鳥の手からぽろりとクッキーが落ちた。 西城は笑っているが、西城が七海のことを本気で好きだったのは知ってるし、その笑顔が痛々しくて仕方ない。 白鳥も同じなのか、悲しそうに顔を歪めている。
ちなみに今は放課後の西城の部屋。 部活のあとだからかなり遅いし気が引けたが、西城が話があると言ってクッキーを差し出すものだからつい上がってしまった次第だ。 言っおくが、決してクッキーにつられたわけじゃない。
「そんな悲しそうな顔しないでよー、私としては清々してるんだよ?」
「でも弥生ちゃんは、」
「まぁ確かに哉太のこと好きだけど、付き合ってても幸せ以上にツラいことのが多かったしさ。」
白鳥の言葉にすかさずそう言われてしまえば、もうこちらから言うことなんてあるはずもなく。 いや、西城が決めた時点で俺たちに何か言う資格はないんだが……それでも、やはり気になる。 そんなことを考えてたからか、ふと西城と目が合って笑われた。
「龍くん、さっきから何も言わずに大人しいなーと思えば、また眉間にシワ寄ってるよ? もしかしてクッキーおいしくない?」
「む、クッキーはうまいぞ。」
「ふふ、ありがとう。」
ふんわりと、ほんとに嬉しそうに笑う西城。 その笑顔を見て、少し安心した。 七海と別れて笑顔まで失ったとなれば、さすがに七海に殴り込みに行くしかなくなるからな。
(「あ、晩ご飯、よかったら私作るけど食べていかない?」) (「む、いいのか?」) (「うん、食堂行く気にはなれないんだけど1人で食べたくもないし、2人がいいならお願いしたいな。」) (「じゃあお願い!」) (「俺も頼む。」) (「ふふ、わかった……ありがと。」)
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