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とりあえず、その次の授業は保健室で休ませてもらった。
何も聞かない先生の優しさに感謝して、授業終了のチャイムのちょっと前くらいに保健室を出る。

まぁ次が最後とはいえ、授業受ける気になれなかったから、教室にはいかなかったけど。


「はぁ、風が強いな。」


自然と足が向いたのは屋上庭園で。
思わずそう呟くほど風は強く、スカートがひらひらと舞った。
誰もいなかったから気にせず放置したけど、ね。

それよりも、考えなきゃいけないこと。
勿論……哉太の、こと。


「……もうやんなっちゃうな。」


適当な場所に腰をおろしてため息。
結局、哉太の中には私よりも月子がいた。
たったそれだけのことなのに。
それに前々から知ってたことなのに。


「……そろそろ、潮時なのかも。」


そう呟いたと同時にこぼれ落ちた雫。
一度流れはじめたそれはダムが決壊したように、次から次へととめどなく溢れてくる。

2人のときは私をみてくれていた気がしたから。
哉太の“好き”がほんとだと信じてたから。

でも、もうムリだよ。
これ以上、がんばれないよ。

私より月子が好きなら、初めから好きだなんて言ってほしくなんてなかった。
飽きたなら、2人のときに嬉しそうな、楽しそうな顔をしてほしくなんてなかった。

そう願っても、もう全部意味なんてないんだけれど。





(「! 弥生、お前こんなとこにいたのか…。」)
(「か、なた…?」)




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