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今日の星占いは最下位だった。
それはこのことだったのかな、なんて。


「………何。」

「あ、えっと、弥生ちゃんとお話したいなー…なんて。」

「私は話すことないんだけど。」


はやく帰って。
言外にそう訴える。
いつもと様子の違う私にクラスメイトがざわめきだしたし、ほんといい迷惑だよ。


「月子がわざわざ来てやってるのにそんな態度しかとれないわけ?」

「誰も来て、なんて頼んでないし。
ていうか何様なわけ?
なんでそんな上から目線で言えるのか意味わかんないんだけど。」


いつもの如く突っ掛かってくる土萌にイライラ。
私たちの様子にオドオドする月子にイライラ。
何しにきたの、ほんと。


「なぁ。」

「……なに。」

「お前さ、もう少し月子に優しくしてやれよ。」


さっきまでだんまりを決め込んでた哉太の一言。
哉太にとったら何気ない一言なんだろうけど、今の精神状態で言われた一言はまさに起爆装置で。
つまりは、どっかん。


「なによ、……みんなして月子月子って月子ばっかり、」

「……弥生?」

「月子はどっかの姫なわけ?!
そんなに月子の意思は大切なの?!」

「そこまで言って、」

「言ってるじゃない!
私の意思は無視して、月子が仲よくなりたいからってみんなそれを押し付ける!
それで反論したら私が悪いみたいな言い方して!
……はっ、ばっかじゃないの?」


まだまだ言いたいことはあるけど、ちょっと言いすぎたかもしれない。
こいつらと同レベルになりたくなくてずっと我慢してたのに、バカなのは私の方じゃないの。
そんな自己嫌悪に陥って俯いた私の頭に、ふわりと暖かいぬくもり。


「西城。」

「龍、くん……。」

「悪いが帰ってもらえないか?」


私が名前を呼んだ瞬間にグッと肩を引かれて龍くんの胸にダイブ。
それから私の顔を誰にも見せないようにしてくれて、月子たちにそう言ってくれる。
ふと左手に違うぬくもりを感じたと思えば、やっくんが月子たちに謝る声が聞こえた。


「弥生っ、」

「哉太、行くぞ。」

「でも弥生が!」

「………哉太。」

「チッ、」


そんな哉太と錫也の声を最後に、足音が遠退いていく。
あぁもう、足に力入んないや。
無駄に気を張ったせいか疲労感がすごくて、へたり込みそうな私を龍くんとやっくんが支えて保健室まで連れて行ってくれた。





(「とりあえず休め。」)
(「ありがと、ごめんね、見苦しいとこ見せちゃって。」)
(「気にしてないから、弥生ちゃんはゆっくり休んで!」)




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