[]




「はいっ、どうぞ!」

「は? カーネーション?」


朝一に名前から呼び出されたかと思えば、バッと差し出されたカーネーションに首を傾げる。
ちなみに名前の後ろには月子に哉太に羊がいて、みんなしてにこにこと笑顔で。


「あのね、今日って、」

「母の日だろ?」

「だから錫也に日頃の感謝を込めて、」

「ありがとう、錫也!」

「………。」


月子、哉太、羊、名前の順に言ってくれたおかげで状況はなんとなく理解できた。
できたけど、それが納得できるかはまた別なわけで。


「とりあえず、カーネーションの他にはこんなの作ってみましたー!」


固まる俺を他所に、何かを手渡す名前。
とりあえずそれに目を向けてみれば。


「"肩たたき券"と"お手伝い券"…?」

「やっぱ母の日の定番といえばそれだろ?」

「僕、小さいころにそれよく作ってたんだ!」

「哉太もよく作ってたよねー。」

「ばっ……月子、言うんじゃねぇ!」


苦笑気味にもらった券たちと哉太たちを見ていたら、なんだかすごく悲しくなってきた。
そんな俺に気づいてか、クイっと俺の服の裾を引っ張る名前。
そっちに目を向ければ、少し不安気な名前がいて。


「どうした?」

「えと、錫也、嬉しくない…?」


ぎゅっとつまんでいた服を握りしめながら言う名前に、きゅうっと心臓を掴まれたような気持ちになった。
それを隠すようにフッと笑って、そっと名前の頭を撫でる。


「心配しなくても、気持ちはすごく嬉しいから。」

「ほんとに…?」

「あぁ、俺が嘘つくように見えるか?」


そう言えば、フルフルと首を横に振る名前。
その返事に満足した俺はそっと名前の頬にキスを1つ。
あいつらはあいつらで盛り上がってるし、これくらい許されるだろう。



感謝を込めて
(「す、錫也…!」)
(「ははっ、真っ赤だぞ名前?」)



*こどもの日は間に合わなかったけど、母の日ぎりっぎりセーフ!

キャラ多すぎて、いつも以上にグダグダ……申し訳ない。


2012.05.13 母の日



- 1 -
*PREVNEXT#