「は?」
目を見開いて固まる一樹にもう一度微笑んで。
「だから、別れよう?」
「な、何言って、」
揺れる瞳に「ウソだよ」って言いたくなる。
でも、言えない。
言えるわけないよ。
「もう話しても埒が明かないね。
そういうことだから。」
「お、おい…!」
「じゃあばいばい、会長さん?」
自分にできる最上級の笑顔を浮かべて、ゆっくり背を向ける。
ダメだ、泣きそう。
「おいって!
俺は全然納得できないからな!」
「あぁもう、会長が納得できなくても私が納得してるの。
もう飽きちゃったもん、会長で遊ぶの。」
「な…!」
顔も見ずにそう言う。
名前だって、もう呼べないよ。
決心が鈍っちゃう。
でも、そんなことあっちゃダメなの。
私といたら一樹は死んじゃうんだから。
だから、私は傍にいれないけどちゃんと生きて。
それで幸せを掴んで。
「……ごめんね、愛してるよ。」
小さな声で呟いてから歩きだす。
きっと一樹には聞こえてない。
聞こえなくて、いいんだけどね。
愛してるから
(あなたと、別れます。)
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