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「……誰だよ、」


静かな部屋に響く機械音で目が覚める。
安眠を妨害されて頗る不愉快だ。
手を伸ばして携帯を見れば、どうやらメールのようで。


「って、名前かよ。」


普段10時以降はメールしてこない名前からの着信。
なんだと思って見てみれば一言“玄関のドアを開けてみて”。


「はぁ……ったく、なんなんだよ…。」


欠伸しながらベッドを出て玄関に向かう。
こんなめんどくさいことしたくないが、名前の頼みなんだから仕方ない。
どうしても名前に甘くなる自分に、ため息をつきたくなった。

と、そんなことを考えてるうちに鍵をあけてドアを開けると。


「はっぴーばーすでぃ!
おめでとう、哉太!」

「………………はぁ?」


たっぷり3秒。
頭の中がフリーズした。

いや、なんで名前がここに?
ていうか、は?


「バレるとマズいから、とりあえず入っていいかな?」

「あ? あぁ、」

「お邪魔しまーす!」


よくわからないまま部屋に招きいれる。
そこでハッとして名前の首ねっこを引っ張った。


「おまっ、こんな夜中に男の部屋に入んじゃねぇよっ!」

「わっ!
べ、別に今日くらいいいじゃない!」


迷惑にならないように小声で言い合う。
てかこいつには危機感とか警戒心とかないのか!


「哉太の誕生日くらい、ずっと一緒にいたいの!
それがダメなの?!」

「なっ、」

「……哉太は、私と一緒にいたくない…?」


俺がたじろいだのに気付いた名前、うるうると目を潤ませて上目遣いで見てくる。
そんなん俺だって名前と一緒にいたいに決まってるだろ。
そういう気持ちも込めてぎゅっと名前を抱きしめる。


「おめでとう、哉太。
生まれてきてくれてありがとう。」

「ばか、ベタなんだよお前は…!」

「感動したくせに。」


くすくすと腕の中で笑う愛しい存在を確かめるように抱きすくめる。
嫌な素振りを見せずに閉じ込められる名前に、言いようのない幸せを感じた。



ベタな甘さ
(「あ、今日ここで私も寝るからね!」)
(「まじかよ!」)
(「ふふ、添い寝してあげるよ!」)



――――――――

哉太、おめでとー!
なんていうかまぁ…ベタな話に……。
まぁ何にせよちゃんと書けてよかった!


2012.03.18 哉太誕




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