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寝れない。


「…………。」


疲れていないわけじゃないし、眠くないわけじゃないのに、寝れない。
部屋はただ、ちくたくちくたくと時計の音だけが支配していて。


「……ったく、一体どうしたもんかなぁ…。」


ぽつりと呟いた言葉は、ゆっくりと空気に溶けていく。
無性に人肌が恋しい気がする、ような気がする。
そう思った瞬間、思い浮かんだ名前の顔に苦笑した。


「あー……ダメだ、電話してぇ、っていうか会いてぇな…。」


目元に右腕を置いてまた呟けば、虚しさだけが残る。
ぎゅっと左手を握りしめてから、もう一度寝ようと試みることにした。



無性に会いたい
(「……やっぱり寝れねぇよ…。」)




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