「はい、これ。」
そう言って手渡されたのは、綺麗にラッピングされたかわいいクッキーたち。 もしかしてこれは…!
「錫也の手作り?!」
「うん、そうだよ。」
「わーっ、わーっ! ありがとー!」
「ははっ、どういたしまして。」
まさか錫也お手製のクッキーがもらえるなんて、今日はツイてる! そういえばさっき会長にマシュマロもらったし、いいことって続くもんなんだなー。
「えへへ、」
「名前、顔が緩みまくってるぞ?」
「はっ……ごっ、ごめんね!」
錫也に言われて顔に力を入れる。 でも、言い訳させてくれるならこんなにいいことが続いて、顔が綻ばないわけないよね。
「……もしかして名前、今日が何の日かわかってないのか?」
「え? 今日?」
急にそう言われても、特に何もなかった気がするんだけど。 っていうか今日、何日?
「まったく名前は…。 今日は3月14日、ホワイトデーだろ?」
「……あ! そっかぁ……今日だったんだ…。」
呆れ顔で教えてくれる錫也。 なるほどね、だからさっきもマシュマロくれたわけだ。
「でも、私のチョコと錫也のクッキーだったら割に合わないよね…。」
「何言ってるんだ。」
俯きながら少ししょげてる私の頭を、ふわりと撫でる錫也の手。 その手に誘われるように顔をあげたら、目の前にはさっさの手と同じくらい優しい笑顔を浮かべる錫也がいて。 あまりにも近すぎる距離に心臓が高鳴った。
「名前が俺のために作ってくれたチョコ、俺が名前のために作ったクッキー、想いは一緒だろ?」
「すず、や…。」
「俺、すっごく嬉しかったんだからな?」
そう言って笑う錫也。 それを見た私も、自然と笑って頷いていた。
大事なのは気持ち (「錫也大好きっ!」) (「俺は愛してるよ。」) (「ふふっ、なんだかベタだね?」) (「別にいいだろ?」)
――――――――
とりあえず人気投票2位だったし、ってことで錫也くんで短編。
錫也くんってなんかベタなの好きそうなイメージだよね、っていう。
2012.03.15 WD
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