「あ、」
「お、」
ばったり。 まさしくそんな感じで出会ったのは、高校卒業以来の不知火くんだった。
「久しぶり、だね?」
「だなぁ……なんか成長したみたいだな、イロイロと。」
「……不知火くん、卒業してオヤジからただのエロオヤジに成り下がったんだね。」
ジロジロと私を見たあとにニヤニヤ笑う不知火くんに、冷たく吐き捨てれば焦ったような雰囲気の不知火くん。 まったく、こういうとこは変わってないよね。
不知火くんは、高校時代に学科が違うのに何かと私を助けてくれていた。 お礼を言っても「俺は生徒会長だからな!」なんて、イマイチ答えになってるのかなってないのかわからない答えを返してくる彼。 そんな不知火くんに抱いていた淡い気持ちは、今もまだ私の中に息衝いてるみたい。 トクンと小さく跳ねる胸に苦笑した。
「あ、名前は今から時間あるか?」
「時間?」
「ちょっと茶でも飲もうぜ?」
奢ってやる。 そう言って笑う不知火くんに、私は無意識に頷いていた。
「手ぇ繋ぐか?」
「なっ、!」
「なーんて、お前くらいかわいかったらどうせ彼氏いるんだろ? さすがに彼氏持ちに手は出さねぇよ。」
ケラケラ笑う不知火くんに、ぎゅっと自分の手を握る。 それから深呼吸して、歩きはじめた不知火くんに並んで。
「なっ…!」
「……手、繋ぎたいんでしょ?」
「や、は、おま、は?」
ぎゅうっと不知火くんの手を握れば、困惑したような不知火くん。 でもしばらくしたら落ち着いてきたのか、ぎゅっと握り返してくれる。
「それから不知火くん。私、彼氏いないから。」
「え、まじで?」
「……なによ、悪い?」
恥ずかしいから前を睨むようにして言えば、ほんとに驚いたような声。 それにムッとしながら答えれば笑われて。 それからその無邪気な笑顔で悪くないなんて言われた私は、一体どうすればいいんですか。
あの日々の続き (「お前、高校んときからリアクションかわいいよなー。」) (「な、うるさいっ!」)
――――――――
相互記念で、ひめちゃんに捧げます。
相手の気持ちがわからなくてすれ違った高校時代の続き、って雰囲気で書きたかったんだけど……力不足だった…。 書き直しはいつでも受け付けてますので!
ひめちゃんのみお持ち帰りください。
相互、ありがとうございます!
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