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「明かりをつけましょぼんぼりにー!」

「元気ですね、先輩。」

「あ、あずあず!」


ひな祭りだしってことで結構な大声で歌っていたら、あずあずもとい梓が声をかけてきた。
あ、眉間にシワ寄っちゃった。
癖になっちゃうんだよ?


「はぁ、先輩のせいですよ。」

「ため息ついたら幸せ逃げるんだってさ、あと他人のせいにしなーい!」

「先輩、僕より子どもっぽいのに年上なんですよねぇ……。」

「ちょっと、失礼!」


少しばかり背が高いからってなにさ!
頭撫でてもらうの好きだけど、そんなちっちゃい子にするみたいに撫でないで!
あ、でもやめちゃうのはもっとやだ!


「先輩のわがままって、かわいいですよね。」

「え?」

「そんなかわいい名前先輩に、せっかくのひな祭りなんですしコレあげますよ。」

「あられ!」

「名前先輩、そういうの好きかなーって思ったんで持ってたんです。」

「わー、わー!
あずあずありがとう!」


私の手にコロンと置いたのは、いかにも“ひな祭り”ってデザインの袋に入ったあられ。
私はぎゅっとそれを握りしめてお礼をいう。
そしたら「そこであずあずじゃなくて梓ならなお嬉しいんですけどね。」っていう。
うむむ、あずあずは梓って呼ばれたいのか。


「梓!」

「え?」

「梓!」

「……はい。」

「ありがとう!」


笑顔を浮かべて言えば、一瞬固まったあと嬉しそうに破顔させた梓。
そのあと会長なみにぐりぐり頭を撫でられた。



子どもっぽい
(「僕、不知火会長の気持ち、今ならすごくわかりますよ。」)
(「髪ぐしゃぐしゃ!」)
(「そんな先輩もかわいいです。」)
(「もー、お世辞いいから櫛とかない?」)
(「先輩は僕に何を求めてるんですか。」)
(「櫛。」)
(「………。」)


――――――――

ひな祭り→女の子のお祭り→女の子→子どもっぽい→あえての年上→お相手は梓、みたいな?

身長はきっと梓より10センチ以上低いと予想。

結局ひな祭りは初めの方しか出ないっていう。


2012.03.03 ひな祭り




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