どうなってるんだ?
「………。」
「……にゃあ。」
端的に言えば、猫耳と肉球手袋をつけた名前が、俺の上にいる。 ちなみに俺はついさっきまで生徒会室のソファーで寝ていたから、どういう経緯かさっぱりだ。
「何か言いなさいよ。」
「あ、ちゃんと喋れたのかお前。」
「失礼ね、喋れるわよ、バカにしてる?」
照れてるのか、言葉がいつもよりかなり鋭い。 ただ、ほんのり色付いた頬のせいで威力は半減。 うん、かわいいけど、かわいいんだけど、恥ずかしいならそんな恰好しなけりゃいいと思うのは俺だけか。
「とりあえず、座ってもいいか?」
こくりと名前が頷いたのを見たあと、名前を落とさないように気をつけながら座る。 そのおかげで名前は俺の膝に座ることになって、見下ろした名前がもう言葉で表せないくらいかわいい。
「な、なによ、」
「いや……かわいいな、と思って。」
そう言って頬に唇を寄せる。 くすぐったそうに笑う。 ぐらりと揺らいだ理性を悟られないよう、顔には出さないようにする。
「で? なんでまたそんな恰好してんだ?」
「……にゃあにゃあにゃあだから。」
「は?」
「桜士郎くんが、猫の日だしこれしたら一樹が喜ぶって、」
「……なるほどな、」
桜士郎の考えそうなことだな、なんて苦笑する。 確かに名前のこんな姿見れるのは嬉しいが、桜士郎に言われてってのはひっかかる。
「一樹…?」
「なんだ?」
「……あの、怒った?」
不安げに見上げる名前に固まった。 それから思いっきり抱きしめる。 なんだこのかわいい生き物。
「か、かずっ、」
「……怒ってねぇよ、ありがとう。 ただ、こういうのは俺の前だけにしてくれ。」
誰かに見られるなんて、悔しいから嫌だ。 そんなバカみたいな独占欲を吐き出した俺に、名前は当たり前っていう風に言葉を紡いだ。
キミにだけだよ (「ほんと、お前には敵わねぇよ。」) (「私は一樹には敵わないよ。」)
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