ふと見上げた星空が綺麗だったから、屋上庭園でゆっくり見ようとしたらそこには先客がいた。
「やっぱりきたな。」
「わっ、会長、どうしてここに?」
「星詠みでな。」
そう言って笑う会長。 さりげなくその隣に座って、空を見上げる。 会長が隣にいるだけで、さっきよりもっと華やかにみえた気がした。 なんて、言わないけど。
「綺麗だよな、」
「そうですねー…、」
空一面に散らばった星はほんとに綺麗で、いつ見ても飽きない。 それに、星とか空ってみてると勇気をくれるし、普段捻くれた私をも正直にしてくれる。
「会長、」
「ん? 寒いのか?」
こてん、と会長の肩に頭を乗せる。 会長は寒くて擦り寄ったと思ったらしく、そう聞きながら私の腰に腕を回して抱き寄せてくれた。 寒くないわけではないけど、そうしてくれるのは嬉しいから何も答えずにもっとくっつく。 会長に「甘えただな」って笑われたけど、今はなぜか気にならなくて。
「せっかくだから会長に目一杯甘えるんです。」
「おー、甘えろ甘えろ。 お父さんは大歓迎だ。」
わしゃわしゃ頭を撫でた会長に「私は会長をお父さんだなんて思ったことないけど」って呟いたけど、会長には聞こえなかったみたい。 でも今はこのままでいい気がする。 このままじゃイヤ、って思う日はそう遠くないだろうけどね。
星空の魔法 (「(俺だって、お前のことを娘って思ったことねぇよ。)」)
―――――――― ちゃっかり聞いてたオヤジ。
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