[]




バレンタインが近くなった。
どうやら名前ちゃんは、手作りのチョコを作るらしい。


「名前ちゃん、今年はチョコ作るんだって?
ふふ、がんばってね。」

「誉くん!
ありがと、がんばる!」


ぱたぱた走ってる名前ちゃんにそう言えば、笑顔で敬礼された。
そんな姿にくすくす笑ってしまう。
ほんと、かわいいよね。
一樹が夜久さんたちをかわいがる気持ち、今ならすごくよくわかるよ。


「……僕にもくれるのかな。」


期待半分、不安半分。
運命のバレンタインまであと2日。











ついに来てしまったバレンタイン当日。
どきどきしながら名前ちゃんがくるのを待ってるのに、名前ちゃんはこない。
桜士郎や一樹はもらってるのに……僕の分はないんだろうか。

そんなことはない、そう思いたいのに。
一度考えてしまった可能性が、頭から離れない。


「……はぁ、もう帰らなきゃ。」


なんとなく動けなくて教室にいてたけど、暗くなりだした空にそろそろ帰らなきゃいけないことを知る。
立ち上がり、かばんを持ったときだった。


「あ、誉くんいた!」

「! 名前ちゃん?」


ガラッとドアが開いたと思えば、かわいらしい笑顔を浮かべる名前ちゃんが立っていて。
何でここに、とか言いたいことはあったけど。


「これ、もらってくれますか?」

「……チョコ?」

「うん!
えとね、それ本命チョコなの。」


待ち望んでたチョコをもらって、顔には出さないけど脳内でガッツポーズを決めたとき。
耳を疑うような言葉が鼓膜を揺らす。


「ほ、んめい…?」

「うん……私ね、誉くんが好き、だよ。」


ほんのり頬を染めて、キレイにはにかむ名前ちゃんがいつも以上にかわいらしく見えて。
気付けばその体を抱きしめていた。


「ほ、誉くん?!」

「……ほんとに?」

「え?」

「僕が好きって、ほんとなの?」


声が少し震える。
そんな僕に気が付いたのか、とんっと僕に身を預ける名前ちゃんは頷いてくれて。


「僕も、僕も名前ちゃんが好きだよ。」

「へへ、知ってる!」


意外な答えに名前ちゃんの顔を覗けば、真っ赤になってて。
こんなにかわいい彼女、僕にはもったいないとは思うけど離す気もないから、覚悟しててね。



かわいらしい君
(「わ、おっきなハートだね。」)
(「誉くんには、ベタな感じがいいかなぁって思って!」)
(「ふふ、ありがとう、嬉しいよ。」)



――――――――

サイさまに捧げます。


かわいがってる感、出てますでしょうか…?
もし気に食わないようなら返品、書き直し受け付けてますので!

サイさまのみお持ち帰りください。


バレンタイン企画へのご参加、ありがとうございます!




- 1 -
*PREVNEXT#