「ぬぬ、名前ー!」
「わっ…!」
どーん! 思いっきりぶつかってきた天羽くん。 正直、この人苦手。
「どこ行くのだ?」
「べ、別に天羽くんには関係な、」
「どこ行くのだ?」
にっこり。 一見無邪気な彼の纏う雰囲気が怖い。 なんか、あの副会長さんくらい怖い。
「聞こえてる?」
「きっ、聞こえてます、聞こえてます!」
「だったら早く答えて。 どこ行くのだ?」
「しょ、職員室です。」
私が答えると、興味をなくしたのか「ふーん」とか適当に返して、私に背を向けた。 自分から言ってきたのにとか、思わなくもないけど天羽くんの圧力から解放されて一息つく。
「名前、」
「え?」
「俺のチョコはハート型な。」
顔だけ振り向いて、ニッと笑う翼くん。 え、チョコ?ハート型?
私が混乱してるのを知ってか知らずか、それだけ言うとどっか言ってしまった。 ちょっと待って、もしかして今のがバレンタインのことだったら……。
「今日中に用意して渡せってこと…?」
無茶苦茶だ。 とか思いながら、先生からの用事が終わったら外出届を出そうなんて考えてる私は、なんだかんだ天羽くんに弱いよね。
準備期間をください (「なんで手作りじゃないのだ!」) (「じ、時間なかったんです!」) (「ぬー……来年は絶対、手作りにするんだぞ!」) (「ら、来年も…?」)
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前に書いてたのをみっけまして。 せっかくだしー、ってことで。
それにしてもヒドい。
2012.02.14 VD
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