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※犬飼妹設定









小さい頃から星が大好きで、お兄ちゃんと同じとこを受けるって決めていた私。
偏差値が高かったり、男の人がいっぱいって聞いたときは不安だったけどお兄ちゃんから“夜久先輩”って人が優しいと聞いていたから、がんばった。

その甲斐あってか、今日から私は星月学園の生徒になった。


「おーい、名前!」

「お兄ちゃん!」


右も左もわからない学園で、私と同じ緑の頭を見つけた。
私はそれに安心して、突進するように走る。
お兄ちゃんが慌ててるけど気にしない。


「お兄ちゃーん!」

「ぅおっ?!」


勢いを殺さずに突っ込めば、少しよろけるお兄ちゃん。
でもきちんと受け止めてくれた辺り、やっぱりお兄ちゃんも男の人だよねって思う。


「え、この子が犬飼の妹か?!」

「え?」

「あぁ、なかなかかわいーだろ?」


お兄ちゃんばかり見ていて気付かなかったけど、どうやらもう1人いたらしい。
背の高い茶髪の人が、私を見て驚いていた。
結構、顔がいい。


「めちゃくちゃかわいーじゃねぇか!
あ、俺は白鳥弥彦!」

「しら、とり先輩…?」

「かわいいいいいいいいいいいいい!」


先輩の名前を反復すればすごい雄叫び。
びっくりした…!


「あ、あの、えと…!」

「おい、白鳥ぃ、名前が怖がってんぞ?」

「なぁにいいい?!」


楽しそうに笑うお兄ちゃん。
それにオーバーすぎる白鳥先輩。
なんだか私まで楽しくなってきて、いつの間にか私も笑ってた。


「えと、名前ちゃん、だよな?」

「あ、はい。」

「笑ってるともっとかわいいな!」


にかっと。
あまりにも眩しい笑顔で言うから、カッと顔に熱が集まった。
どきどき早くなる心臓に恥ずかしくなって俯く。


「え、ごめん?!」

「や、えと、大丈夫、です。」

「そ、そ、そう…?」

「吃りすぎだ。」


俯いた私に勘違いしたのか、かなり慌てた様子の白鳥先輩。
私が大丈夫だと言えば、お兄ちゃんが言ったみたいにやたら吃ってる。


「……!」

「うわ、ごめん!」


顔をあげようか、と思った瞬間、ふわりと髪に何かが触れる感覚。
一瞬、びくりとしてしまったからか、離れたあとに白鳥先輩の謝罪が聞こえる。
そこで触れたのが先輩の手だと気付いて、パッと触れた辺りに手を当てて顔をあげていた。


「や、その、キレイな緑だったから……つい。」

「だ、大丈夫、です。」


真っ赤になった白鳥先輩と目があう。
髪を褒められたことってあんまりなかったから、嬉しくて。
口元が緩むのを必死に隠した。



恋に落ちる音がした
(「照れるだろー?」)
(「お前には言ってねええええ!」)




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