「………えと、」
怖い、怖いよ…! 私はガタガタと震えながら、目の前のすごく綺麗な笑顔を浮かべる颯斗くんを見た。 目が、笑ってない。
「……覚悟は、」
「え…?」
「できてます、よね?」
にっこり。 そんな笑顔の彼が持ち出したのは、もうすっかりお馴染みのミニ黒板。 あ、ヤバい。 ほんとにヤバい。
「では、いきます。」
「待っ…!」
「待てません。」
「ていう夢を見たの。」
書類に目を通したり、手を動かす颯斗くんに今日みた夢について話す。 ちなみに、私はまだ颯斗くんのお叱りを受けるようなことはしたことがない。 まだ、って言ったけど、する予定もない。
「それはそれは、」
「なんかちょっとだけ、会長や翼くんの気持ちわかった気がする。」
そう言えばピタッと作業する手がとまった。 ゆっくり、私を見る颯斗くんの顔が笑顔なのに怖い。
「は、颯斗くん…?」
「名前さんは、」
そう呟くように言った瞬間、目になんだか悲しそうな色が浮かぶ。 よくわからなくて颯斗くんの手をぎゅっと握ったら、軽くだけど握り返してくれた。
「名前さんは、僕の味方でいてくれると、思ってたのですが。」
「え…?」
そう言って、パッと手を離された。 意味がわからなかったけど、私はずっと颯斗くんの味方でいたつもりだしこれからもそうでありたいと思ってる。 そんな気持ちが伝わるように、今度は腕に抱きついてみた。 颯斗くんは初め、びっくりしたような雰囲気だったけど、しばらくしたら私の頭を撫でながら「ありがとうございます。」と呟く。 よかった、伝わったみたい。
態度で示せ (「なんか珍しいね。」) (「そうですか?」) (「うん、いっつも余裕そうなのに。」) (「ふふっ、そんなことありませんよ。」)
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