「名前ー!」
どーん。 出会い頭に思いっきり抱きつかれた。 初めてじゃないからか、多少よろけたもののしっかり衝撃を吸収する。 こんな順応性いらない。
「名前、おっはよーだぬーん!」
「おはよー翼、でもいきなりこれは危ないよ。」
「ぬぬ、」
しゅん、とした翼だけどここで甘やかしたらダメだ。 私はグッと我慢して、ため息と共に吐き出す。
「翼はさ、なんでこんなにスキンシップが激しいのかな。」
「名前が好きだからなのだ!」
「はいはい、ありがと。 私も好きだよー。」
未だに私を抱きしめたままの翼にそう問えば、にっこにこの笑顔でそう言われた。 真に受けちゃダメ、小さい子がよく構ってくれる人に「好き!」って言うのと一緒なんだから。
「ぬぬっ、信じてないだろ!」
「えー?」
「俺はほんとに!」
そこまで言ってぎゅっとさっきより強く抱きしめる。 私を包み込むようにしているからか、私の耳元に翼の口があって。
「ほんとに、名前が好きなのだ…。」
「っ!」
いつもと違う、不安げで細い声に顔が熱い。 なんで、翼はこういうとき、男の人になるの。 どうしたらいいか、わかんないよ。
「名前は、俺のこと、嫌いか…?」
そんなの、答えは1つしかないじゃない。 私は翼の腕の中で方向転換、真っ正面から抱きしめられるようにして背中に腕を回してそっと抱きしめる。 さっきより近付いた距離にどきどきしながら、翼が喜ぶだろう言葉を紡いだ。
スキンシップ (「……っ、大大大好きなのだーっ!」) (「ちょっ、苦しい!」)
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