「梓、」
「あ……どうしたんですか?」
ぼーっとしてたら、名前先輩の声に反応するのが遅れた。 それを見て、悲しそうな顔をする名前先輩。 そんな顔、しないでくださいよ。
「……月子のこと?」
「どうして夜久先輩が出てくるんです?」
「最近、月子ばっかみてるじゃない。」
ツラそうに顔を歪める先輩に、僕がツラくなる。 何度違うと言っても、もう僕の話を信じてくれない先輩は聞く耳を持たない。
「僕には名前先輩だけですよ。」
「ウソばっかり。」
「ウソじゃないです、信じてください。」
先輩の手首を掴み、そっと腕の中に閉じ込めながら言っても、大人しくはしてるけど信じない。 いつからこうなったのかわからないけど、前みたいに無邪気な先輩はいなくて。
「キス、してもいいですか?」
「………。」
「しますよ、……失礼します。」
返事しない先輩の唇に、少し乱暴にキスする。 こうしたところで、僕の気持ちの1/3も伝わらないんだろうけど。
「愛してます、先輩。」
「ウソ、つかないで、」
ぽろぽろ泣き出した先輩の涙を舐め取った。 意味のないことくらい、僕だってわかってる。 でも、どうしても伝えたいんだ。
燻る想い (届かない、愛の言葉。)
―――――――― ヒロインが病んでる感じに……すみません。 ちなみに、梓くんは月子ちゃんはただの先輩で、邪な想いはちっともありません。 ヒロイン一筋です。
- 1 - *PREV|NEXT#
|