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「うぬぅ……。」


ただ今、3時間目の授業中。
私は周りに聞こえないように静かに唸る。

別に問題が難しいわけじゃない(だからって簡単ってわけではない)し、具合が悪いわけでもない。
理由は簡単、お腹がすいたのだ。

でもまだまだお昼まで時間あるし、お菓子は今日に限って切れちゃっている。
全く、ツイてない。


「よし、今日はここまでだ、各自しっかり予習と復習をするように。」


チャイムの音と共に聞こえた先生の声を受け流しながら机にへばり付く。
力が、出ない…。


「名前、大丈夫?」

「うぅ……錫、也…。」

「具合悪いのか?」

「お腹、へった。」


心配そうな顔で私の机のそばに来てくれる錫也だけど、まともに答えるだけの気力がない。
宛ら「私の屍を越えて行け」みたいな雰囲気で言う私を、くすくす控えめに笑う錫也。


「ほら、これ。」

「っ、クッキー!」

「昨日、作ったんだ。
いるか?って、言うまでなかったな。」


差し出されたクッキーを無我夢中で食べる私。
口いっぱいにクッキーの味が広がって、ほんとに手がとまらなかった。

最後の1つを食べ終わってハッと我に返る。
なんだかすごく恥ずかしくなって、俯きながらお礼を言った。
そんな私をみて、また控えめに笑いながら頭を撫でる錫也はなんかお母さんに見えた。



曖昧な位置
(「錫也、嬉しそう!」)
(「でも不思議だよね、あれで付き合ってないなんてさ。」)
(「ま、アイツららしいけどな。」)




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