「小さい梓がほしい。」
「は?」
愛しの彼女から出た言葉は、理解するのに少し時間がかかった。
いきなり、何を言い出すんだ。
「翼くんに頼んでみようかなぁ。」
「やめてください。」
「えー、なんでよぅ。」
翼のとこに行こうとする名前の手を掴んで引き止める。
ムッとした顔をしたって通じないですよ。
「ダメなものはダメですよ。」
「意味わかんない。」
「わからなくてもいいですよ。」
不服そうな顔の名前を抱きしめる。
なんだかんだ抱きしめられるのが好きらしい名前は、僕の胸に顔を埋めて幸せそうに笑った。
ほんと、たまに名前が年上なことを忘れてしまいそうなことがある。
ま、歳の差なんて気にしてないけど。
「そんなに小さい僕がほしいなら、」
「ん?」
「結婚して、子どもに期待すればいいじゃないですか?」
「え、な…!」
少し体を離して顔を覗くように言えば、真っ赤に染まる名前の顔。
かわいいなぁ、なんて思いながら、その唇に自分の唇を重ねた。
子どもに期待
(「う、あ…っ!」)
(「ふふ、落ち着いてください。」)
(「っ、ば、ばか!」)
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