「誉、」
「あ、名前。」
ぼーっと、窓の外を眺める誉に声をかける。
私の声に反応した誉はすぐに私の方に目を向けてくれるけど。
「また、月子ちゃん?」
「あぁ、うん。」
はにかんだ、柔らかい笑顔を見せる誉にキュッと胸が痛い。
私が、どんな気持ちでそう言ったかなんて、誉は知らない、気付かない。
いつだって私は誉の“幼なじみ”から抜け出せないんだ。
「ふふっかわいいよね、彼女。」
「え、あぁ……うん、そうだね。」
誉の言葉が痛い。
確かに月子ちゃんはかわいい。
私にはない、輝きを持っている。
だから……私はこのままなのだろうか。
私は、醜い。
月子ちゃんのような輝きがないからって、彼女を僻んで、情けない。
わかってるけど、やっぱり早々に直るわけでもなく。
月を羨む
(ただ、妬むことしかできない自分が、いる。)
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