[]




「誉、」

「あ、名前。」


ぼーっと、窓の外を眺める誉に声をかける。
私の声に反応した誉はすぐに私の方に目を向けてくれるけど。


「また、月子ちゃん?」

「あぁ、うん。」


はにかんだ、柔らかい笑顔を見せる誉にキュッと胸が痛い。
私が、どんな気持ちでそう言ったかなんて、誉は知らない、気付かない。
いつだって私は誉の“幼なじみ”から抜け出せないんだ。


「ふふっかわいいよね、彼女。」

「え、あぁ……うん、そうだね。」


誉の言葉が痛い。
確かに月子ちゃんはかわいい。
私にはない、輝きを持っている。
だから……私はこのままなのだろうか。

私は、醜い。
月子ちゃんのような輝きがないからって、彼女を僻んで、情けない。
わかってるけど、やっぱり早々に直るわけでもなく。



月を羨む
(ただ、妬むことしかできない自分が、いる。)




- 1 -
*PREVNEXT#