「私、財前君にやったら遊ばれてもいいわ」
突如名前が言い出した。
部室には俺と財前と謙也と名前しかおらんかった。
たまたま他の奴らは、部活終わってすぐ帰っとた。
正確に言うと、俺らは名前が部誌書き終わるのを見計らって二人きりになりたいだけやと思う。
「ほんなら、遊んでみます?」
財前の軽い口調の割にやけに真剣な目をするから思わず口を出してしまった。
「名前、お前いい加減にしとけよ。」
「うるさいな。浮気相手の分際で蔵ノ介は口出ししやんとって!」
思わずカッチーンって頭に来てしまった。
「はぁ?何言うてんねん!お前なんかを相手してやってんねんから感謝の一つくらい言えや!」
浮気相手、これは一番アカン言葉や。
「浮気相手やって?名前、どういう事やねん。財前も財前やねん!こいつの冗談真に受けんなや。」
「冗談なんかちゃうし!謙也も口出してこやんとってや!」
何やねん。謙也にこんだけ言うとるけど、どうせ名前が一番依存してるのは謙也なんや。
「お前ホンマになんやねん!ってゆーか、浮気相手って他に付き合ってる奴おるって事か?付き合う時は俺に言うてこいって言うてるやんけ!」
「なんで一々幼なじみってだけに謙也に報告しなアカンねん!」
「お前は俺のもんやろ?!」
「いやいや、名前さんは俺と遊びたいって言うてるんですから俺のモノでしょ。」
「お前らは関係持った事ないくせによう言うわ。」
あほらしいなってくるわ。
「「黙れ、浮気相手。」」
「お前らなんか相手にもされてないくせに!」
「大体、白石には彼女おるやんか!」
俺ら3人が口論してるのを気にも留めずに、名前は携帯を触り出した。
「財前君、またメールするわ。彼氏が会いたい言うてるし、部誌書き終わったし帰る。」
「ま、待てや!お前、彼氏って誰やねん!!」
なんや、謙也、ホンマに知らんかったんか。
「ユウ君。」
名前が無表情で言い切るのを見て胸が痛むのを感じたが、所詮お互いが浮気相手。お互いがお互いを利用しあう関係。独占欲を出したり、嫉妬したりする権利はない。
「ゆ、ユウジやと?!」
「名前さん!あんな人辞めて俺と付き合いません?」
「蔵ノ介、また夜連絡する。多分ユウ君、あの子の話やから。」
「わかった。小春もユウジも悪ないから責めるなよ。」
「わかってる。」
―――――――――
謙也→ただの幼なじみ
白石→浮気相手
財前→遊ばれたい
一氏→彼氏
あの子→小春
一氏が小春、小春言うのに嫌気がさした主人公の話。
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