「名前を僕にください!」

どうにも見覚えがある頭。聞き覚えのある声。

頭を下げ続ける男の隣にはニコニコと笑う幼なじみ。

えっと・・・・

「・・・これはどうゆう状況かな?」

俺は幼なじみに説明を求めた。

「あんな!蔵ちゃんが結婚しよう、って言うから、謙也に許可もらいにきてん!」

「は?お前ら付き合ってた事か?」

聞いてへん。

「うん!蔵ちゃんが謙也には言うなって言うからさ!」

「名前ー!言うな!それは言うたらアカン!」

「どういう事か説明してもらおか?し・ら・い・し・くん?(黒笑)」

「さぁせんしたー!!
でも真剣やねん!名前が好きやねん!結婚したいねん!」

「謙也、アカン・・・・?」

俺を上目遣いで見つめてくる幼なじみの目は真剣そのモノで友達からも真剣さは伝わってくる。

「・・・・泣かすなよ。」

「「え?」」

「絶対名前泣かすなよ。俺が手に塩かけて育ててきたんや。泣かしたら白石殺すから。」

「けっ、謙也!」

「謙也・・・・・っ!大好きや!」

ギュッと俺に飛びついてきた幼なじみを受け止めて、白石にドヤ顔をプレゼントしてやる。

「知ってるわ。名前、白石と俺どっちが好きや?」

「え、け、謙也・・・?」

白石の不安そうな目が面白くて笑いをこらえるのに必死やった。

「もちろん!蔵ちゃんやで!だって結婚するんやもん!」

「・・・・やっぱり結婚の許可出来へんわ。」


ま、二人が幸せならそれでええっちゅー話やねんけどな。そんな事は一生言うたれへん。


 





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