「まだ、跡部のことが好きなんか?」
侑士の部屋で情事を終えて服を着ている時に言われた。
「どうして?」
「跡部の名前、イクときに呼んだやろ。」
気づかなかった。
「まだ景吾が好きでも侑士には関係ないよ。」
「その後罪悪感で親友の名前呼んだくせに。」
それも知らない。
「うるさいな。ただのセフレの分際で私の恋愛にまで口出ししないで。」
「それは無理な注文やな。親友に彼氏寝取られて、彼氏に裏切られても2人を応援しよう、なんて言うアホな子が好きやから。」
「侑士、そんな奴好きにならない方がいいよ。」
「それも無理やな。」
服を着終えて、帰ろうと立ち上がったのに腕を掴まれてベッドに引き戻される。
「帰して。」
「嫌や。」
一度着た服をもう一度脱がされていく。
「侑士、やめて。」
「嫌なんやったら抵抗しぃや。」
「やめて・・・・。」
頬を一筋の涙が伝うのが分かったが、涙は止まらない。
「なんでお前が泣くねん。泣きたいのは俺や。」
「ゴメン、ゴメンね、侑士。傷つけてゴメン。」
「謝るなら俺の気持ちを受け入れてや。」
「ゴメン、それは無理だ。」
「なんで、なんで跡部やねん!」
「分かんないよ。けど景吾が好きなんだから仕方ないじゃん。」
「お前、アホやろ。」
「侑士もね。」
2人で笑いあって、また情事を繰り返すのだ。
思いはいつでも一方通行
(侑士っ・・・・・)
(今度は俺の名前呼んだな)
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モドル
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