金ちゃん短編の
捨てられた女の子side
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今日、私は捨てられた。
大好きだった彼に捨てられた。
「声出すなって。」
なんで、なんて言わんくっても知ってる。
あの人と違うからやろ?
私を選んだのだってあの人と髪の毛の色が似てて、髪型が似てたからやろ?
気付いて。
私あの人に髪の毛似せて、遠山君に近づいてん。貴方に選んでもらえるように。
「あっ、遠山くっ・・・・」
私以外の女の子もそうやん?
声質が似てるとか、目元が少しだけ似てるとかさ。
いきなり開いたドアに驚いて目を向けるとあの人が立ってた。
ずっと尊敬してた、綺麗で凛とした人。
あなたに憧れてました。
けれども、遠山君は取らないで。
「・・・・・名前・・・・・。」
「あ、邪魔してゴメン」
ドアを閉めて軽い足音で去って行くあの人を追いかけようとする貴方。
「待って・・・・っ、行かないでっ!」
「お前、アホやろ?お前なんかが俺の心まで引き止めれるわけないねん。俺の心を動かせるのは、アイツだけやねん。」
「待って行かないで・・・・っ」
届かない声。
なんで遠山君を取るの?
貴女には千歳先輩がいるじゃない。
なんで・・・・・。
なんで、私達から彼を取るのですか・・・?
返して、返して。
彼を返して・・・・。
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モドル
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