「マサ・・・・・、もう終わりにしよう。」
私が彼に言葉を告げるのはもう6回目だ。
肩を強く強く握られて揺さぶられる。
「痛い・・・・、」
「なんで!なんで!なんで!」
痛い、って言葉はマサには届かないの?
「なんで、そんな事言うんじゃ。俺はお前を愛しとるのに!俺がこんなに愛しとるんじゃ!なんで名前は俺を愛さん?!」
違うよ、マサ。もう愛がないのは、マサだよ。
私は、仁王雅治を殺したいくらい愛してる。
狂ってる?
そんなの褒め言葉だ。
「俺の事嫌いになったんか?」
「大好きよ。」
「嘘じゃ。嘘じゃ。嘘じゃ。嘘じゃ。」
「マサ、私は貴方を愛してるわ。」
「じゃあ、なんで別れるなんて・・・・・!」
ああ、もう。なんで分からないかな?
「もう疲れたのよ。」
私は貴方が愛しすぎて、今すぐにでも殺してしまいたいのよ。
「雅治の八つ当たりにはもう堪えられない。」
「治すけん。八つ当たりしやんけんき、別れんで。俺はお前がおらんな生きていけん・・・・!」
雅治、貴方は気付かないわね。私の方が一枚も二枚も上手。
貴方がいないと生きていけないのは私。
「それ、前にも言ってたけれども、マサは治せなかった。」
「今度こそ!今度こそ治すから・・・・」
そう、そうやってドンドン私に依存して。
「・・・ほんと?」
「ホンマじゃけん!」
「今度こそ・・・よ?」
もし仮に、マサの殴る行為をDVだと呼ぶならば、私のマサを精神的に追い詰め行為はなんと呼ぶのだろうか?
「わかっとる、今度こそ約束は守る。」
「じゃあ、もう一つ約束して。」
「な、なんじゃ・・・?」
「他の女の子と話さないで。会話しないで、浮気は絶対しないで、私だけを愛して。」
「わかった。お前との約束は死んでも守る。」
「そう、絶対よ・・・?
でなきゃ、私、嫉妬してマサの事殺しちゃうわ。」
私だけを愛してね。
私だけを見てね。
「わかった、・・・・愛しとうよ。」
「私も愛してるわ、雅治。」
私は貴方を殺したい程、愛してるわ。
もし、貴方の私を殴る行為をDVと言うのなら、私は貴方に精神的DVを与えるのだからお互い様よね。
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モドル
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