アンケリクです
真っ黒でただ病んでるだけの
謙也君です。
―――――――

「もう無理や・・・・・。」

屋上から世界を見下ろせば、楽しそうに笑う人達が。

謙「何が無理やねん?」
「けんやっ・・・・・・」
謙「軽々しく名前呼ぶなや。」
「ごめんなさい。」

彼の目が冷たくて冷たくて殺されそうになる。

彼がいなければ、彼に好かれなければ、こんな事にはならなかったの?

謙「お前は独りやねんで?俺がおらんかったら独りやねん。」

「謙・・・・っ忍足君があんな事、私をハメなければ独りになることもなかったんや!」

謙「誰に口答えしてるん?」

「ごめんなさい・・・・。」

謙「お前はまるで、物分かりの悪い犬やなあ。」

ガッ・・・

「・・・・っ・・・・。」

殴られて口が切れるのが分かった。

またか。また殴られ続けるのか。

本当に独りになる?

本当に独りなのは、謙也だって知ってるから。私がいないと謙也は心が独りになってしまうんやろ?

「謙也っ・・・・・、好きやで・・・。」

腹を蹴られて意識が飛ぶ直前に見た謙也の目は、私が好きだった謙也の優しい目じゃない。

意識を手放す、と思ったのに、謙也は冷たい水を頭からぶっかけて、意識を飛ばす事ですら許さない。


謙「好き、やって?俺のどこが好きやねん言うてみろや?ん?」

前髪を掴まれて、顔を地面から離される。

昨日は、全部。と言えば殴られた。
一昨日は、優しいところ。と言えば殴られた。
その前は、顔。と言えば殺されそうになった。

なんと答えるのが正しいの?

「謙也・・・・・、好き『やった』よ」


謙「お前までそんな事言うんか?優しい俺が好きやったとか言うんやろ?優しい俺って偽った俺やで?」

「違うよ、謙也。私は、・・・・ちゃんと笑ってる謙也が好きやった。」

そう言えば謙也は一瞬悲しい表情を浮かべて、笑わない目で表情を作った。


謙「は?何言うてんねん。アホらしいわ。お前、飽きたし、もういらん。」


屋上の閉まる音に涙が溢れた。


「結局独りやん。謙也も私も独りになったやん。謙也だって結局私を捨てるんやんか・・・・・。」


好きだった。今でも好き。


優しくても、

優しくなくても

殴られても

どんな君も大好きなんだ。



私は、屋上のフェンスを乗り越えた。

「本当の独りは嫌だ。」








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