「こんな可愛い子に出会えちゃうなんて、俺ってラッキー!」
なんて、いつも言ってるけれども、俺が真剣に、心の底から綺麗で可愛いと思っているのは、君だけなんだ。
「キヨ、買い物に付き合って欲しいんだけど。」
「いいよ。彼氏へのプレゼント?」
隣の家に住む、2つ上の彼女はいつも男の影が絶えない。俺に女の子が途絶えることのないのと一緒だな。なんて自嘲気味に笑って感傷に浸ることも多々ある。
「んー、まあそんなとこ。」
俺はいつも君を見ているのに、君は俺を見ないね。
「これなんかどう?」
「キヨってそんなの好きだっけ?」
少し厳つい感じのシルバーアクセ。
「違うけどさ、名前の彼氏っていつもこんな感じの人じゃん。」
気付いて。
俺が呼び捨てで呼ぶのは君だけなんだ。
「んー、今回はちょっとキヨに似た人。」
「そうなんだ・・・。」
俺に似た男を選ぶのに、俺はダメなんだ?
「これにしようかな。」
「それって名前の使ってる香水?」
「うん、男モノ使ってるから匂いお揃いにしたい。」
君からはいつも爽やかなシトラスっぽい香りがする。
ねぇ、君と会うときだけは同じ香水使ってるって知ってる?
「今回は随分と乙女思考だね。」
「ん、まーね。・・・あ、じーん!!」
「あ?なんだお前らか。」
あっくんと名前は昔付き合っていたはずなのに、いつの間にか別れていて、いつの間にか友人関係を築いていた。
「待って、これだけ買ってくるから久しぶりに3人でご飯食べよう!」
「俺は帰るぜ。」
「えええ、なんでさー。」
「ババアに買い物頼まれてんだよ。」
「仁は相変わらず母親思いだねぇ。」
相変わらず、その言葉に2人だけの時間があったことを伺わせる。
レジに向かった彼女の背中を見ながら言った。
「早く告っちまえよ。じゃ、俺は行くわ。」
「あっくん・・・・・。」
「お待たせ!!さ、ご飯食べ行こう。仁は帰ったの?」
「うん。」
「そっか。いつものとこでいっか。キヨ、行こう?」
振り返って笑顔を向ける彼女にキュンとした。
「そうだね、行こうか。」
いつまでもこんな曖昧な関係で居られないことなんて分かってる。
でも今はもう少しだけこのままでいいかな。
俺の好きな人。
(キヨ、これ、プレゼント。)
(え、でもこれ彼氏にあげるんじゃ・・・)
(うん、彼氏になる予定の人にあげるの)
(それって自惚れていいの?)
(どうぞ、ご自由に?)
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モドル
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