一氏君の、片思いです。
報われません。
拍手用に作ったので
名前変換ありません。
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俺には好きな女がおった。
「あ!蔵りんやん!・・・・・あの隣の女の子可愛い子やねぇ・・・・」
小春の声に道路の反対側を当たり前のように見てもうた。
「・・・・・小春、行こうか。」
「え?・・・ユウくん?」
見なければよかった。
道路を走って渡って、白石から奪い取りたかった。
“コイツは俺の女や!”
って叫びたかった。
俺が彼女を好きや、と気づいた時にはもう遅くて、アイツはもう白石のモンやった。
「ユウくん、今の人友達なん?カッコイイ人やねぇ。」
「なんや、お前、白石に惚れたんか?今白石カノジョおらん言うてたし紹介したるわ!」
彼女とチームメイトをくっつけたのは紛れも無く自分で。
その事を後悔しなかった事はない。
あの日、彼女と街を歩いていなければ、
あの日、チームメイトに彼女を紹介しなければ、
未来は変わっていたかも知れないのに。
白石よりも全然先にアイツと出会ったはずやったのに。
白石よりもアイツを好きやったはずやったのに。
〜やったかも知れない。
〜やったはず。
だから俺は状況を打開出来ないまま、臆病者のまま、彼女と白石の関係を見ないように、聞かないように、目を閉じて、耳を塞ぐ。
いつか、アイツと白石が結婚するって報告をしてこやんことを、臆病者の俺は祈るんや。
だから、
俺には好きな女が“おった”。
いつまでも過去形のままにしておこう。
だから早う気付いてや。
白石の名前なんか呼ばんと俺の名前を呼んでくれ。
「ユウくん!大好きっ!」
その言葉を一度だけでも。
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モドル
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