kuzu
首ったけ!1st
兵長と裸のお付き合い

「やぁ、リヴァイ班のみなさん。調子はどうかな?」


ある日、何時ものようにみんなでお茶を飲んでいるとハンジさんがやって来た。


「明日の巨人の実験にエレンも手伝ってもらおうと思って。」
「…自分には自分の権限がないので…。」
「リヴァイ、明日のエレンの予定は?」
「庭の掃除だ。」
「じゃあ決まりだね!」
「ついでにそこのゴミも一緒に連れてってくれ。生け捕りの巨人もさぞかし腹をすかせてるだろうからな。」
「ちょっ、兵長!ハッ○ーセットじゃないんですから、私をオマケで付けないでください!」
「えっ。ナマエはいらないよ。」
「………。」


エレンの予定を聞いたハンジさんに、リヴァイ兵長は抜け目なく私もセットでオススメした。今度は巨人の餌扱いである。その上ハンジさんにも拒否された。いや、受け取られても困るんだけど二人の息のあった私の扱いに多少傷ついていると、ハンジさんはそんな私を見るなり、おもちゃを見つけた子供のような悪戯な顔をした。


「…そうだナマエ!元気かい?君がリヴァイを追っかける姿を久しく見てなくて、寂しい思いをしてたところだったんだよ。…その後はどう?リヴァイと一つ屋根の下で生活している感想は?」
「最高です。とうとう裸のお付き合いってやつを始めました!」


二人の発言にめげずにこう答えると、一同は台本でもあったのかと思うほど同時に紅茶を噴き出した。あの、リヴァイ兵長もだ。


「てめぇ…虚言癖があったとは、何も喋らねぇゴミの方がまだましだったぞ。相当俺に削がれてぇらしいな…。」
「えっ兵長こそ何言ってるんですか!この前風呂場の前にいた私に入って来いって、っぶへぇ!」


兵長は私が最後まで言葉を言うのを許さなかった。手近にあった本を私の顔面めがけて投げつけてきたのだ。あの時の兵長の美しいお体を思い出していたため、避けることも出来ずそれをもろ顔面で受け止める。丁度鼻に本の角が辺り抑えていると手が真っ赤だった。いや、これは兵長の裸を思い出してとかじゃなくて、絶対本の角が当たったからだから。


「えナマエ、兵長とお風呂に入ったの?!?!」
「気持ちが通じたってことか?!何故それを早く言わない?!」
「な、何かの間違いじゃないのか…」
「ナマエさん良かったですね!!兵長のティーカップを割った時は一時はどうなるかと…。」


班員がそれぞれ驚きの発言をしているあとに、ハンジさんが声を張り上げて笑った。いや、私は何も間違ったことは言っていない。確かに私は、兵長の裸を見た。兵長が望めばその逆だって喜んでする。これは裸のお付き合いってやつじゃないのか。


「あれはこのクズ野郎が掃除の際に忘れた補充を持ってきただけだ。誤解を招くような言い方すんじゃねぇこのゴミが。」
「なぁんだ。そういうことか。面白くないなぁ。」


兵長の言葉を聞いて、ハンジさん筆頭にその他の人も落胆の色を示す。しかし周りの人が落胆しようが兵長に愛想を尽かされようが、あの日の兵長の美しいお体は私の記憶の中で一生色褪せないだろう。


「それよりエレンよ。お前さっき俺のティーカップが何だと言った?」
「えっ、あ、あれは、その…。」


エレンが歯切れの悪い返事をしながら私の方を見る。すっかり口を滑らせてしまった失言を、兵長が逃さないはずがなかった。これはやばい。ティーカップを割ったのが私とエレンだと分かった上に先輩に濡れ衣を着せていたと知れば、兵長は怒りを爆発させるだろう。リヴァイ班にいれるのも今日限りかも知れない。そう思っているとエレンが申し訳なさそうに続けた。


「えっと…それより俺は…ハンジさんから巨人の話を聞きたいです。」
「ばか、やめろっ聞くなっ」
「え?」
「やっぱり?聞きたそうな顔してると思ってたぁ…。」


その瞬間キラーンとハンジさんの眼鏡が光り、一同が一斉に席を立った。ん?何があった?残されたエレンと私は頭にハテナマークを浮かべた。本当は兵長のあとに続いて退席しようかとも思ったが、今行くとティーカップの件について詰められるに決まっている。大人しくここに居た方が賢明だ。そう判断した私は後にこの判断が間違っていたことを知る。


「まずは、今回捕獲したあの子たちについて話そう…。」




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