夜鳴きするんです




「もしもし、エッちゃん? ごめんね、夜遅くに……寝てた?」

「わ、エラいね。くれちょんなんか全然電話出ないんだもん。絶対予習なんかしないで寝てるんだよ、あの子ったらもう」

「そんなことないよ、エッちゃんは頑張り屋さんだもん」

「あ……ほら、どうきゅんは怒りそうじゃん」

「こんな夜中に電話とか何考えてんの? ……とか言うよ。今の声すっごい似てなかった!?」

「ち、違うよ……! いや違わないかな……エッちゃんは優しいからつい甘えちゃうっていうか……ね」

「えへへ……ありがとう! さすがエッちゃん、かっこいいよ!」

「あ、本題ね。ごめんごめん」

「そうそうタイチなんだけど、昨日もそうだったんだけど、夜になると結構鳴くんだよね」

「昼間は静かにしてるって。なかなかおりこうさんで、トイレとかすぐ覚えてくれそう」

「ん、そうそう。夜になったら急に鳴くんだもん……それもなんか寂しそうにさぁ……俺どうしたらいいか分からなくて」

「夜泣き……? あぁ夜鳴きね、へぇ、犬も夜鳴きすんだね」

「どうしたらいいのかな……」

「なるほど、鳴いてても近寄らない方がいいんだね」

「ここで甘やかして、いつまでも治らないならタイチのためにならないねぇ」

「近所の家には迷惑かからないから、それは大丈夫。ほら、お隣さんまで遠いし?」

「俺……? まぁ昨日はあんまり寝れなかったけど。平気、元々俺睡眠時間少ない方だから」

「タイチが悲しかったり寂しかったりするんだろうなぁって思ったら、なんかソワソワしちゃって」

「なでなでしてあげたいなぁ……」

「実はさ、俺もね……小さい頃、すっごい小さい頃だけどね、一人で寝るのあんまり好きじゃなかったんだ」

「くれちょんとどうきゅんには内緒ね、絶対笑うから」

「今になるとなんであんなに怖かったのか分からないけどね」

「あはは、かわいい? それはどうも」

「うーん、そういう家じゃなかったからなぁ」

「じゃあエッちゃんが俺に絵本読んでよ」

「いいじゃん、そういうのって気持ちの問題だよ。え? 使い方が違うって?」

「あ、やば! もうこんな時間だ。長い間ごめんねー。今日はもう遅いから絵本は明日頼むね」

「えへへ、ありがとう、本当にエッちゃんは優しいね……おやすみ」






夜鳴きするんです


(僕、あんまり読むの上手じゃないですよ……?)
(俺はエッちゃんに読んでほしいの!)

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