サクリと音を立てて(Levi)



「暑い!」
 ジリジリとアスファルトからの熱気。何故私はこんなことをしているのだろう。理由は簡単。彼氏が仕事の間、買い物を済ましておいてくれ、という伝言があったからだ。家からスーパーまでは徒歩10分。なので車を使うのももったいない。なので、歩いて来たものの、この暑さでどうにかなりそうだった。
 買い物のメモは、携帯に残してある。急ぎ足で行き、無事スーパーへ辿り着いた。スーパーの中は冷えており、少し寒い程度だ。流した汗は、冷房によって冷やされる。
「早く済ましちゃおう」
 携帯のメモを見て、買い物かごに無心で入れていく。頼まれていないが、お酒も2人分買っておく。リヴァイは紅茶を好むが、ビールを飲むときもある。おつまみを作るのは私の仕事だ。おつまみになる具材も買い、会計を済ます。エコバッグに詰め、その足でスーパーを出る。
「……暑い」
 やはり外は暑い。冷えたビールも、すぐぬるくなってなってしまうだろう。帰りは荷物もあるため、行きよりは歩みが遅い。携帯で音楽を聞きながら、この暑さを家まで乗り切ろう。

「は〜ただいま」
「遅かったな」
 誰も居ない部屋に挨拶をすると、彼の声が聞こえて来た。どういうこと?と思い顔を上げると、仕事で居ないはずのリヴァイが、リビングから顔を出していた。
「え?え?リヴァイ……?」
「ヒロ、落ち着け」
「なんで居るの?」
 リヴァイは私の混乱する姿を見て「とりあえず落ち着け」と私の荷物を持ち上げ、リビングに戻って行った。疑問は拭えないまま、その後を着いていくと、冷蔵庫に物を入れていく彼。続くように荷物を詰めていくと、リヴァイはビールを見つけ、それを冷凍庫へしまう。
「こんなもんか、ありがとな」
 ポン、と頭に手を乗せられ優しい目でこちらを見つめる。それが嬉しく、もっと、とすがるように頭をこすりつけると、わしゃわしゃと両手で頭を撫でる彼。
「も〜、髪の毛ボサボサ」
「これが要望だったんだろ」
 リヴァイはそのままソファへ座り、先ほど作ったであろう紅茶を嗜んでいた。自分も続くように、冷えた珈琲を机の上に乗せ、彼の隣に座る。すると、彼の腕が回ってきて、体を委ねる形になった。
「ねえ、私今汗臭いから……」
「そんなことねえ、俺から離れんな」
「う……」
 こう言われたら彼から離れられない。仕方ない、と思いつつ肩に頭を乗せ、ぼーっとテレビを見る。こういった時間はとても好きだ。彼の温度を感じながら、ゆっくりと過ごす時間。特別何かするわけではないが、リヴァイのことをもっと好きなる。
「ねえリヴァイ、なんで家に居るの?」
 ずっと思っていた疑問をぶつけると「今日はただのミーティングだったから直ぐ終わったんだ」とのこと。
「悪かったな、帰ってきたらヒロが居なくてな」
「あー、すれ違いだったのかなあ」
 そう言うと、おでこにキスをされる。嫌だと訴えても、彼は色々なところにキスを落とす。
「ねえ、汗かいてるから……」
「関係ねえよ」
 くすぐったく、体を動かすと首に生温い感覚が私を襲う。急いで首を触り、リヴァイのほうを振り返ると、口角を上げ楽しそうな表情を浮かべていた。
「もう止めてよ〜、」
「ヒロの汗は甘えな、いくらでも舐められる」
「〜!潔癖性のくせに!」
「ヒロにはそれが効かねえなあ」
 急に変なことを言うものだから、急いで寝室に逃げると、彼もゆっくりとソファから体を離し、寝室に入ってくる。
「……何で着いてくるの」
「ヒロとイチャイチャしてえから、だな。駄目か?」
「……だめじゃない」
 クーラーが効いた部屋で、二度目の汗を流した。その汗も全てリヴァイに吸い取られてしまった。この夏は、いくら汗をかいても、彼が全て吸収してしまうだろう。だが、そんな夏もいい。彼と過ごしていく夏は、何が起こっても楽しいし、幸せだ。この夏も、彼と色々なことをやっていこう。
「ねえリヴァイ?」
「あ?」
「愛してるよ」
「……俺もだ、ヒロ」
 何度かのキス。それも彼から受ける熱い温度。彼は私に対しては何でも許してくれるが、私だってそうだ。リヴァイからの温度は全て好きだ。夏は嫌いだが、彼が愛してくれるなら、それも受け止めよう。


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