まだ日が高く、寝室は明るかった。
「カーテンとか閉めません?」
「は? 俺は気にしないよ」
「あんたじゃなくて俺が気にするんだよ」
 臨也はその言葉も気にしないことにして、正臣をベッドに押し倒した。その横にローションのボトルを転がす。
「い、臨也さん」
「なに?」
 臨也は先ほど一度射精したにもかかわらず、再び下半身に集まる熱にため息をついた。
「や、さっきも思ったんすけど、なんか今日エロいですよね……」
「何をいまさら……」
 半ばあきれながら正臣のシャツのボタンをはずしていく。こういうときに限ってなぜ、脱がしやすい服じゃないのだろう。
「ほんとは俺じゃなくて君がエロくなればいいのにね」
 ボタンをはずし終えたところでつぶやくと、正臣の顔が赤くなった。
「恥ずかしがるところ? それ」
「あんたやっぱりよくわかんないっすよ……」
 正臣は上体を起こして残りの服を脱ぎ始めた。臨也も自分の服に手をかける。
「あーやっぱりまだたってる」
 足の間で膨張しつつある性器に目をやって、情けない気持ちになる。
「どうするんすか? それ」
「どうもこうもないよ。一刻も早く入れたいけどそうもいかないし」
「ちょ、勘弁してくださいよ。痔になったら治療費請求しますよ」
「だからそうもいかないって言っただろ。ていうか治療費出してあげたら入れてもいいってこと?」
「言ってねえだろそんなこと」
「冗談だよ」
 正臣の足を開かせて、ローションを直接そこにぶちまける。正臣は冷たさに顔をしかめたが、文句は言わなかった。指を入れて、狭い入り口を広げるように動かす。やや性急なやり方にも、正臣はじっと耐えていた。居心地悪そうな顔がなんだかかわいい。キスをすると肩が小さく跳ねた。
「んっ……」
 臨也は唇も熱をもっていて、逆に正臣は少し冷たかった。それが気持ちよくて夢中で押し付けてしまう。開かれた唇の隙間から舌を入れて正臣のものと絡ませる。体をめぐるこの熱がうつってしまえばいいのにと思っていると、だんだんと彼の瞳が水気を帯び始めた。
「ふっ……ん、っ」
 彼の中に入れた指をぎゅうと締め付けられて、臨也は唇を離した。
「だめだよ。力抜いて」
「だって……」
 そう言いながらも正臣は意識的に体を緩めようと息を吐いた。臨也はその隙に二本目の指を挿入する。
「うっ」
 気持ち悪そうに眉をひそめる正臣には申し訳ないが、臨也は中で指を広げた。
「あー……めっちゃ嫌な気分……」
「……がまんしてよ。俺だってがまんしてるんだよ」
「でもなんかやっぱ気分が、やらしい感じじゃないっていうか……」
「俺は十分やらしい気分だよ」
「臨也さんはもとからだろ」
 いまいち盛り上がりに欠けると文句を言われている気がして、臨也はそろえた二本の指で正臣の前立腺を圧迫した
「ぅあっ、それは反則!」
「君が盛り上げろって言ったんだろ?」
 指を曲げたところにあるかすかなふくらみを押しつぶし、ゆっくりとこする。
「ひっ、あ、ああっ」
 臨也は彼の足を押さえてひたすらそこばかりを責めた。
「あ、いざやさっ、ちょっ、と、まっ」
 制止の声は無視して少しだけ指の動きを速めると、正臣の足がシーツを滑った。あご先が上を向いて、白いのどが無防備にさらされている。
「今ちょっといった?」
 見ると、すっかり勃起した正臣の陰茎はだらだらとカウパーをあふれさせており、触れてもいない乳首がとがっていた。
「だから待てって言ったのに……」
「盛り上がってきただろ?」
 指を三本に増やしてそこを注視すると、真っ赤な粘膜が垣間見えた。
「あっ、んま見るなっ……」
 正臣の体も赤く染まっている。臨也は開かせた太ももの内側をなでて、その間に顔を伏せた。
「なっ、何やってんすか!」
 上体を起こしかけた正臣の性器に唇を押し付ける。
「ひっ、ちょ、臨也さんっ?」
 根元からなめあげて先端を口に含む。深くくわえて唇で摩擦すると、正臣の腰が強張った。いったん口を離して彼を見上げる。
「まだいっちゃだめだよ」
 そう告げて再び濡れそぼった陰茎に唇を寄せる。体液で顔が汚れるのもかまわず睾丸のほうにも舌を這わせると、くしゃっと髪をつかまれた。入れっぱなしだった指をゆっくりと再び動かして前立腺をもみこむ。
「ひぁっ、あ、あ」
 指はずいぶんとスムーズに出し入れできるようになった。正臣の熱い粘膜をこするたびに入り口がひくついて臨也の指を締め付けた。ぬるぬるとするそこをかき回しながら時折膨らんでいるところを押しつぶし、尿道を舌先でえぐる。
 シーツをつかんで耐えている正臣を見ていると、臨也はせつない気分になってきた。ほったらかしにしていた陰茎は痛いくらいにたちあがっている。それでも臨也は正臣への奉仕を続けた。
「ぅ、くっ……いざ、やさんっ、も、げんかっ……」
 正臣の中に入れた指が痛いほど締め付けられる。臨也は瞳が潤むのを自覚しながら張り詰めた肉棒の裏筋を舌でたどった。薄く張った皮膚に丁寧に舌を滑らせていく。先端の穴が開いてさらにこぼれたカウパーをなめとりながら、敏感になっているであろう亀頭を、ぬめりをぬぐうように親指でなでつける。
「っ、も、いっ……」
 正臣が切羽詰った声を漏らし、温い粘液が臨也の顔面を直撃した。
「あ、あっ……」
 前立腺にも刺激を与えていたせいか、普通より長い快感に正臣は涙を流し、唇を震わせている。彼の放った精液が肌の上をすべる感覚に、臨也は息を詰め、目を閉じて顔を伏せた。
「いざやさん……?」
 落ち着いたらしい正臣に呼ばれ、臨也はゆっくりと目を開けた。
「俺もいっちゃった……」
「えっ」
 臨也はかがめていた体を起こした。触れもせずにはじけてしまった性器はまだ熱をもっている。
「臨也さんて時々マゾですよね……」
 正臣は恥ずかしそうに言って、臨也の顔に付着した精液をぬぐった。
「どういう意味?」
 臨也は正臣の手首をつかんで、汚れた彼の指を口に含んだ。
「わっ、かんないならいいですっ」
 彼にぬぐわれた精液をなめとり、先ほどの口淫のように指の付け根までくわえ込む。完全に精液の残滓がなくなるまでなめしゃぶってから唇を離すと、彼の指先と臨也の唇の間に唾液が糸を引いた。
「なんで……」
 正臣は真っ赤な顔で、相変わらず水気の多い瞳で臨也を見る。
「やらしい気分になっただろ?」
 微笑むと、正臣はせつなそうに眉を寄せ、瞳を細めた。
「もう入れていいよね」
 再び正臣をベッドに倒して足を開き、色々な液体でぐちゃぐちゃの彼の穴に性器の先端をこすりつける。もう二回も出した後だというのに臨也の陰茎は再び充血していた。赤くなった亀頭を正臣の粘膜にもぐりこませようと入り口にぬるぬるとなすりつけていると、正臣の太ももが震えた。
「っい、ざやさん」
 片手で穴を広げるようにすると、熱をもった濡れた肉が臨也のをくわえ込もうとひくついていた。射精したばかりで敏感になっているというのもあるのだろう。臨也がほんのわずかに先端を入れたり出したりを繰り返していると、正臣はたまらなげに両目をつぶり、仰のいて歯を食いしばった。雁首まで飲み込ませると正臣の内壁が吸い付いて、逃がすまいと締め付けてくる。その絡みつく肉を引き剥がすように腰を引けば、正臣は泣きそうな声を上げた。
「もっ、い、ざやさっ、はやくっ……いれてっ……」
「入れて、どうしてほしい?」
 正臣は目を見開いて、それから顔をゆがめた。ああ、泣いてしまう。臨也は思ったが、顔には自然と笑みが浮かんでいた。
「言って、正臣君」
 収縮するそこにぬるついた先端をあてがったまま促す。正臣がまばたきをすると、たまった涙がこぼれ落ちた。
「入れて、ついてっ……い、臨也さんのでっ、なか、ぐちゃぐちゃにっ……」
 臨也は一気に正臣を貫いた。陰茎全体が熱い粘膜に包まれ、締め付けられる感じに、すぐにでも射精してしまいそうになるのをこらえる。そうしながら腰を揺すると正臣がわなないた。
「ちょっ、とまっ、て、まだっ、うごかなっ……」
 散々じらしたせいもあって、出さないまま達してしまっているのかもしれない。正臣の性器の先端からは少し濃い目の体液がこぼれていた。
「ごめん。俺もう待てないから」
 動くよ、と断って抜き差しを開始する。摩擦のたびに快感が全身をめぐって、熱い息が漏れた。
「ひっ、ちょ、はやっ」
 正臣が首を振って細い髪の毛を枕に散らす。深いところに押し付けたまま腰を回すように動かすと、正臣の腕が伸ばされて臨也の首に絡みついた。
「ぁ、うあっ、いざやさっ」
 多少動きにくいが、ほどけるほど非情な気分にはなれなくて、臨也は唇を合わせながら正臣を突き上げた。

20101110
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