星月先生が好き。
この際、ライクもラブも引っくるめて言おう。私は星月先生が好き。けど、私は星月先生を見ると固まってしまうのだ。いつも、マシンガントークと言われるくらい喋るのに、先生を前にすると途端に舌が回らなくなる。たぶん緊張しているんだと思う。しっかりしろ私。
「ケガでもしたのか?」
「えっと、その…」
ほら、こうなる。正直、目もあわせられない。というか顔すら見れない。だから、私がいつも見るのは先生の綺麗な手と清潔を保つ白衣だ。
「その、…」
「ん?」
「あ、足を捻ったので、……湿布をください…。」
これは嘘じゃない。
「座って待ってなさい。」
本がたくさん積まれたソファに座って待っていると、先生が湿布を一枚持ってやってきた。
「自分で貼れるか?」
「じ、自分で、貼ります…ありがとうございます。」
先生に素足をさらすだなんて無理だ。手入れをしていない訳じゃない、寧ろちょっと自慢の脚だ。ただ恥ずかしいのだ。
おずおずと湿布を受け取って、よろよろと保健室の出入口へ向かう。
「よくならなかったら明日も来るんだぞ。」
「は、い…」
保健室を出るまで、結局私の舌はうまく回ってくれなかった。回ってくれないと、私はいつまでもこの想いを伝えれない。
あとちょっとだけ、回ってよ。そうすれば、言える気がするの。
ライクもラブも全部。
話し下手な少女
◎素敵企画サイト星に願いを様に提出。
ありがとうございました。