なんでここにこいつがいるんだこいつがここに存在することが許せない許せない許したくない。

だって認めてしまったら、ああ、きっと俺は壊れてしまう。


「認めろよ」
「、嫌だ」
「認めろ」
「嫌、だ」
「なら、

認めて」
「ッ…!!」

駄目だ駄目だ駄目だ
頭ではわかっているのに、一度溢れだした感情は止まらない。

水のなかにいるみたいに揺らめく視界。触れ合った肩が、指が、熱い、熱くて、融けてしまいそうだ。


ぎゅ、と背中に腕を回されて、腹立たしいことに体はすっぽり納まってしまう。

「大丈夫、大丈夫だから」

ゆるゆると、まるで幼子をあやすように背中を撫でられる。

「俺はここにいるから」


あ、ああ
ああ、嗚呼!

今度こそ涙腺は崩壊して、ぼたぼたと馬鹿みたいに涙を生産する。


認めたくない
許したくない


だって、認めてしまったら


「お前はただ、寂しかっただけなんだよ」



(もうひとりにはもどれない)