※雷蔵が死んでる





「私、ずっと一人じゃあ生きていけないものだと思ってたんだ」

「でも、君が居なくっても腹は減るし喉も渇く。夜には眠くもなるし、朝になればちゃんとこの目は開くんだ」

「ねえ、雷蔵。私は薄情かな」


返事はない。
それも当然で、私が愛したあの子は先日青い顔をして冷たい土の中で眠ってしまった。

「ねえ、君は、ちゃんと私を責めてくれる?」

色の変わった土をゆるりと撫でる。
雷蔵は私の半身だった。ずっとそう信じてきた。雷蔵の生きる世界が私の全てだと、雷蔵が死ぬ時が私の死期だと。
だのに、雷蔵が死んだ今も、私はこうして生きている。
泣けば喉が渇くし腹も減る。夜になれば眠くもなるし、朝になればちゃんとこの目は開くのだ。

「、雷蔵」

私は悲しくなかった。

それが何よりも一番辛くて、哀しかった。


/今は亡き、最哀の君へ