「戦ですか」「そう戦」「…危ない戦ですか」「すこぅし、ね」

振り向けば泣き出しそうな顔。大丈夫さ、と言えば、はい、と潤む瞳。

「お怪我のないように、」
「…それは、敵も?」

聞けば、潤んだ瞳が見開かれる。しばらくして、できることなら、と掠れそうな声。

「怪我人は出さないよ」
にこり、笑えばほっとしたような、綻んだ笑み。

それじゃあいくね
はい、お気をつけて


*


力強く地を蹴り夜の空を駆ける。
跳びながら、先程の会話を反芻する。思い浮かぶ彼の笑顔。

あぁ、本当につくづくあの子は忍に向いてない

怪我人は出さないけど、死体はきっと、沢山出すよ


優しい君には告げない、約束の裏。