※成長/死ネタ ※卒業後設定 ※富松と次屋が死んでる 草木を掻き分けて進めど進めど一向に出口が見えないので、多分わたしは迷子になってしまったのだろう。それでも本能があっちだこっちだと言うものだから、わたしは歩むのをやめなかった。遠くでどおん、と焙烙火矢の爆ぜる音がした。 音から逃げるように歩めど歩めどやっぱり出口は見えてこない。かつてこんなふうに迷ったときにわたしの手を引いてくれていた友はもう居ない。おんなじように迷っているのにそれに気付かなかった友ももう居ない。先程まで居た喧噪の中で、彼らが死する瞬間をわたしは見てしまったのだ。 彼らの死体を踏みつけて、わたしはここまで逃げてきた。 がさり、と草を掻き分けた先に見えたのは崖だった。ついに進む道まで失ってしまったか。仕方なしにその場に座り込む。どおん、どおん、と合戦の音がすぐ後ろまで迫ってきていた。 作は逃げ遅れた村の子供を庇って死んだ。三之助は敵と相討ちになって死んだ。わたしは今もこうして生きている。 いつから道を違えたのか。ぼうとする頭で考えてみたものの、意味などなかった。最初からわたしたちは同じ方向など向いちゃ居なかったのだ。いつかわたしたちを繋いでいた紐は、とうに朽ちて千切れていた。 迫りくる合戦の音と、目の前には大層な崖。 戦火に身を投じるか、谷底に身を投じるか。選択肢はふたつ、答えはひとつ。 そっちじゃないぞという作の声と、こっちだぞと笑う三之助の声が聞こえた。進退は疑うなかれ、わたしは潔く足を踏み出した。 /そこで道は途切れていたのです |