いちまいにーまいさんまいよんまい

小銭をついと糸に通す。じゃらんとした音のなんと心地よいこと。冷えた金属の感触と、ずしりとした重みに胸が躍る。連なった小銭がいとおしくって、思わず頬擦りをした。手垢のついた金属の独特のにおいがした。


「随分貯まったもんだなあ」

横から声がしたのであげませんよ、と持っていた小銭をさっと隠す。取りゃしないよ、と困ったように笑う土井先生をじとりと見つめた。


「きり丸は本当に金が好きだな」
「えぇそりゃもちろん、」

当然でしょう
だってお金は裏切らないし


唇を尖らせていえば、土井先生はまた困ったように笑った。

いつかお前にも、お金以上に大切なものが出来るといいなあ

そういって頭を撫でる手のひらのあたたかさよりも、やっぱり俺は自分の手にある金属の冷たさが好きだった。



/愛情なんていらないの