※死ネタ 忍務先で爆発に巻き込まれた。 どかん、と音がして体がふわり、浮いたと思ったら地面に容赦なく叩きつけられる。肺から酸素が根こそぎもっていかれて、かは、と情けない音が喉から漏れた。 先程の爆発で目をやられたらしく、視界は暗い。 腹に異物感を覚えて手をやると、なにかがざっくり刺さっていた。押さえても押さえても血が溢れてくる。 わたしもここまでか、 ごろり仰向けになると、生暖かいなにかに触れた。 「ああ長次、そこにいたのか」 「…小平太」 触れたのは小平太の指先だった。 「いやぁ、酷い爆発だったな」 普段と変わらぬ明るい声色。だがその息遣いはひゅうひゅうと苦しげだ。 「大丈夫か、」 我ながら馬鹿馬鹿しい質問だとは思ったが、一応問うてみる。 「いや、駄目だ。足が吹き飛んでしまってな、血が止まらん」 帰ってきたのは至極当然の答え。どうやら奇跡は起こらなかったらしい。 そっちはどうだ、と聞かれたので似たようなものだ、永くはないと短く返事をする。 「なんだかあっけないものだなあ」 「…死ぬときなぞみなこんなものだろう」 先程の爆発であたりの人間はみな吹き飛ぶか死んでしまったらしく、周りはしんと静まりかえっていた。合戦の音が随分と遠くに聞こえる。 「…いよいよ、死んでしまうのか」 感慨深げに小平太が呟く。 「なんだか、わたしは死なないような気がしていたのに」 おまえらしいな、と笑えば小平太もそうだろう、と言って笑った。 ああ目蓋が重い。 だらだらと流れ続ける血に、意識が朦朧としてきた。 「小平太」 「なんだ?」 「死ぬのは、怖くないか?」 なんと今更な質問だろう。今その話をしたってどうしようもないのに。 わかってはいたが、気が付いたときには口走っていた。いよいよ頭も回らなくなってきたらしい。 「…怖くない、と言えば嘘になるな」 でも、と一言おいて小平太は言う。 「おまえの傍で死ねるなら、それは本望だよ」 暗かったはずの視界に、ぱっと見慣れた笑顔が広がる。 触れ合うだけだった指先に力をこめ、互いに握り合った。 「…わたしもだよ」 溢れだした涙で再び視界は歪む。 あぁ眠たくなってきた。目蓋が落ちる。感覚をなくした指先が溶け合うような幻覚。 「おやすみ長次、」 また何処かで逢おうな あぁ、と返した言葉は彼の耳に届いただろうか。 +++ title by NoaNoa. |