「ほらよ」

 ぽいと放られた物を両手でキャッチして、ゆっくり手の中を覗きこむ。赤、青、黄色。様々な色に光る貝殻が連なったこれは、たぶんネックレスなんだろう。

「どうしたのこれ」
「いらねえから、お前どうにかしろ」
「不動の手作り?」
「んなわけあるか。そこらへんの懸賞だ」
「……お店でもらってきたの?」
「他にどこがあんだよ」
「いやあ、てっきり道端で拾ってきたのかと。あ、うそ! 冗談だから、そんな怒らないでよ!」

 私と貝殻を一睨みしてから、遠ざかる背中。全身からにじみ出る怒気にちょっと怯んだけど、すぐに追いかけて隣りに並ぶ。力一杯、顔をそらされた。

「ねー、不動!」
「……」
「これ、くれるんだよね」
「…さあね。とにかく俺はいらねえよ」
「じゃあ勝手にもらっとく! ありがとう!」

 にんまり笑顔を浮かべたら、うぜえと軽く一蹴された。でもかすかに上がっていた口角を、私はちゃんと見逃さなかった。ほんと、素直じゃないよなあ。



絡まるカラメル
(今度、お礼になんかあげるよ! 何がいい?)(気味悪いからなんにもすんな)



(110116)


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -