「ぎりぎり及第点かな」
「完全アウトでしょ」
「なにそれ!」

 憤慨してモーガンを睨む。彼は腰に手を当てたまま、正面の修理場を指差した。

「スパナ三本破壊、折れた釘は数えるのも惜しい、修理モーターは発火して融解。物をちゃんと修理できたからって、これだけ物を無駄にしてたらね」
「モーガンは細かいことを気にしすぎなの。たまには誉めてくれなきゃ、私だってやる気なくしちゃう」
「僕も君の気概だけは買ってるよ。けど、お調子者はそう簡単に誉められないかな」
「けちモーガン!」
「なんとでも。後片付けは自分ですること、いいね?」

 人差し指でぐっと額を押されて、目をつむる。それでも彼の呆れ顔が浮かぶから、悔しいったらありゃしない。「今にみてろよ」ぶすくれて呟いたら、指が離れて頭に重みが増した。

「期待はしてるから。がんばって」

 恐る恐る開いた目に映ったのは、やさしく微笑む彼の姿。うっかり意識したのを悟られないよう、私はうつむきついでに頷いた。



(振り返るのはやめた/111107)


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