食べるのが好きだと告げたら、一葉に似てるなと笑われた。ま、類は友を呼ぶって言うもんな。そう付け加えて、藍さまは椅子に深く腰かけた。
「じゃあ、藍さまも私の類友になってくださいよ。食べるの好きでしょ」
私はぶすくれて机に肘をつく。
「なんだよ類友って」
藍さまが怪訝な顔をした。
「類は友を呼ぶの流れで集まった友だちのことです」
「いま作ったろ」
「もちろん。で、なってくれるんですか?」
すこし身をのりだして、自分でも悪どいと思う笑みを浮かべた。実年齢はともかく、外見は少なくとも私が上。つまり彼を力で圧せられるのは、こちら。この考えが、心にを余裕を持たせていた。
そんな私を一瞥して、彼も机に肘をついた。
「俺とお前は、上司と部下だろ」
「うっ」
「それ以前に、お前は友達で満足すんのかって話なんだが」
藍さまは、すこし目を鋭くした。獲物を狙う獣に似たそれに、言葉が出なくなる。
いたたまれなくなって身を引いた。
「ごめんなさい、調子に乗りました」
「わかればいい、わかれば」
とたんに、晴れやかな顔を浮かべる藍さま。残念ながら、精神を圧するのはいつだって彼の方なのだ。
勝てっこない
(111116)